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【2024/04/25 21:13 】 |
004 解放4


俺が飛び込んだ塔の中には、あの猿轡をかまされていた人もいた。

「おう、レイロフ。お前も無事だったか。」
「首長、よくぞご無事で。あなたが生きていて下されば、ストームクロークは健在です。」
「ストームクロークって・・・そうかあんたたちは、帝国軍に反抗して戦っている人たちなんだ。」

俺の呟きを耳にして、二人はようやく俺の存在を思い出したかのように、こちらを見た。
「彼も連れてきたのか?レイロフ。」
「すみません・・あの状況で放っておけなくて。」
「いや、それは構わない。君の名は・・・確かカイトと言ったか?」
「そうです。よく覚えてましたね。さっき一回名乗っただけなのに。」
「些か、物覚えは良い方でね。いきなり大変だったな。」
「びっくりしましたよ、他国に来たらいきなり殺されかかるんだから。」
「どうかこのスカイリムを嫌いにならないで欲しい。良い国なんだ、本当は・・・。」

そう語る首長は、遠い目をしていた。
過去の想い出でも懐かしんでいるんだろうか。

「首長!今はまだゆっくりおしゃべりしている暇はありません。早くこのヘルゲンから脱出しないと。」
「そうだったな。まだまだこんな所で死ぬわけにはいかん。」
「カイト!俺と一緒に塔の上を目指すんだ。」

そう言って、レイロフは先に階段を上がっていった。



「殿は、私に任せておけ。」
そう言って、ウルフリックは扉の所に残った。やるじゃん、大将が自ら殿を買って出るなんて。



だが俺達の知らない間に、事態はもっと悪化していた。
ヘルゲンを襲ったドラゴンが、今度は俺達のいる塔に目を付けたのだ。



「うわあ!」
先を進んでいたレイロフが階段から転げ落ちてきた。慌てて俺は彼を助け起こした。
「すまねえ。」

階段の先にはぽっかりと穴が開いていた。
そこから覘き見えるのは・・・ドラゴン



「くそっ!この塔に取り付いてやがる!」



ま、まさか・・・そんな、ヤメロヤメロヤメロヤメロ!ヤメテー!



うわあああああああーーーーー!
熱い熱い熱い熱ィィィィ!!!!
ぎゃああああーーーーーーー!!


塔の2階は、ドラゴンから吐き出された紅蓮の炎によって、瞬く間に阿鼻叫喚が渦巻いた。

「そ、そんな。2階には仲間がたくさん、いたのに・・・。」
起き上がったレイロフが呆然と呟く。



塔の中から聞こえていた悲鳴や絶叫が、しばらくして止んだ。
それの意味するところは・・一つだ。

ドラゴンは満足したように飛び去った。

「ようやく、この塔から離れたぞ。」
「・・・カイト。あの大穴から隣の宿屋へ飛び移れ。」
「え?」
「ぼさっとすんな。ドラゴンの去った今がチャンスだ。下には帝国軍がうようよいやがるし、突破口はそこしかねえ!」
「わ、わかった。でもあんたはどうする?」
「後から行くさ。」



無我夢中で塔から飛び移った宿屋は、無論のこと、誰もいなかった。
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【2012/08/25 17:38 】 | 伝承の旅 | 有り難いご意見(0)
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