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【2024/04/26 02:20 】 |
140 結婚


もぐもぐ、もごもご。

「どーしたの?手が止まってるじゃない、あなたらしくもない。」

その日、拙僧はバナード・メアにて、飲み仲間のイソルダといつものように飲んでいた。
いや、正確には『いつものように』ではないか。



「結婚しよう。」

「え?何か言った?」

「・・・・・・結婚しよう。」

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」





「いいわよ。喜んで。」



二人の間にそれ以上の言葉は必要なかった。

これまで散々語らって、互いの事を知り尽くしていたから。



振り返ってみれば、いつのまにか、彼女が隣にいることが当たり前になっていた。

ホワイトランで従士になった時。
同胞団の導き手になった時。
困っている彼女の依頼を受けた時。
拙僧がデイドラ王子・サングインに引きずり回された時。
ソリチュードの首長に恋した時。
彼女に振られた時。
内戦を戦い抜いた時。



etc.

何かある度に、バナード・メアでイソルダ相手に酒を飲んでいたような気がする。
愚痴を言ったり、笑い合ったり、空気のように身近にいることが当たり前で、でも不可欠で。

屈託なく接することの出来るトモダチを、女性として意識するようになったのは、いつ頃からだろう?




「いいでしょう。ここマーラ聖堂を式場に選んでくださって、光栄に思います。」
「お許し頂き、ありがたく思います。」
「では明日の夕刻から式を開始します。遅れないようにいらっしゃって下さいね。」


そして、次の日の夕刻・・・・



拙僧とイソルダの結婚式は、厳かに執り行われた。



「おめでとう!」

列席者から賛辞の声が上がった。
同胞団、魔法大学、盗賊ギルド、吟遊詩人大学の面々が駆けつけてくれたのだ。

他に、拙僧が従士を務める各都市の首長達や、出会いの場「バナード・メア」から祝辞が届いた。


取り立てて頼んだわけでもないのに、皆が駆けつけてくれたのが嬉しかった。




「差し当たって、住居はどうする?」
「イソルダの家に拙僧も住まわせてもらってもいいかな?」
「構わないけど、狭いし、ボロよ。」
「いいさ。」



こうして、拙僧はイソルダとの新生活を始めた。



「あなたー!料理ができたわよ。」
「・・・・。(なんだ?この得体の知れない物体は?」
「どう、美味しい?」
「・・・うぐ・・・ぐふ・・・・お、おいひ~。」
「うふふ、良かった。」


波乱の新生活が始まった。
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【2012/06/21 22:50 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
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