もぐもぐ、もごもご。
「どーしたの?手が止まってるじゃない、あなたらしくもない。」
その日、拙僧はバナード・メアにて、飲み仲間のイソルダといつものように飲んでいた。

いや、正確には『いつものように』ではないか。
「結婚しよう。」
「え?何か言った?」
「・・・・・・結婚しよう。」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「いいわよ。喜んで。」
二人の間にそれ以上の言葉は必要なかった。
これまで散々語らって、互いの事を知り尽くしていたから。
振り返ってみれば、いつのまにか、彼女が隣にいることが当たり前になっていた。
ホワイトランで従士になった時。
同胞団の導き手になった時。
困っている彼女の依頼を受けた時。
拙僧がデイドラ王子・サングインに引きずり回された時。
ソリチュードの首長に恋した時。
彼女に振られた時。
内戦を戦い抜いた時。
・
・
・
etc.
何かある度に、バナード・メアでイソルダ相手に酒を飲んでいたような気がする。

愚痴を言ったり、笑い合ったり、空気のように身近にいることが当たり前で、でも不可欠で。
屈託なく接することの出来るトモダチを、女性として意識するようになったのは、いつ頃からだろう?
「いいでしょう。ここマーラ聖堂を式場に選んでくださって、光栄に思います。」

「お許し頂き、ありがたく思います。」

「では明日の夕刻から式を開始します。遅れないようにいらっしゃって下さいね。」
そして、次の日の夕刻・・・・
拙僧とイソルダの結婚式は、厳かに執り行われた。
「おめでとう!」
列席者から賛辞の声が上がった。

同胞団、魔法大学、盗賊ギルド、吟遊詩人大学の面々が駆けつけてくれたのだ。
他に、拙僧が従士を務める各都市の首長達や、出会いの場「バナード・メア」から祝辞が届いた。
取り立てて頼んだわけでもないのに、皆が駆けつけてくれたのが嬉しかった。
「差し当たって、住居はどうする?」

「イソルダの家に拙僧も住まわせてもらってもいいかな?」
「構わないけど、狭いし、ボロよ。」

「いいさ。」
こうして、拙僧はイソルダとの新生活を始めた。
「あなたー!料理ができたわよ。」

「・・・・。(なんだ?この得体の知れない物体は?」

「どう、美味しい?」

「・・・うぐ・・・ぐふ・・・・お、おいひ~。」

「うふふ、良かった。」
波乱の新生活が始まった。

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