勧められて、怪しげな煙を嗅ぎ、意識が朦朧とする中、拙僧の心に誰かが直接語りかけてきた。
(我が名はペライト。疾病を司るデイドラの王子である。)
(一体、何のようだ?)
(定命の者よ。そなたに裏切者を抹殺してもらいたい。)
どうも疫病をスカイリム中に蔓延させる為に感染者を各地に分散させる計画だったらしい。
ところが感染者を誘導する役割を担っていたオーチェンドールという司祭が役目を放棄し、感染者ごと行方を眩ませたという。
ペライトは彼を裏切者と判断し、極刑を下そうとしている。
ん~、もしかすると、そいついい奴じゃん?

病原菌の伝染を防止したわけだし。
(頼みを聞いてくれれば、お前の望みを何でも叶えてやろう。)
何でも?
(何でも。)
ヨシ!放置すると奴は危険分子になる可能性もある。早急に実行しよう。
拙僧は方々手を尽くして、オーチェンドールがブサーダムズという遺跡に潜伏していることを突き止めた。
だが、そこは・・・・
あ~長い・・・はあ
う~深い・・・ひい
拙僧の最も嫌いな“手間のかかる”ダンジョンだった。
オーチェンドール討伐なんて放り出そうかと思ったほどだ。本当に何度も挫けそうになった。
『夏休み終了間近に、まだやってない大量の宿題の多さに途方に暮れる小学生の気分』

もしくは
『出張明けに、書類が山積している自らのデスクを発見した時の社会人の気分』


・・とでも言えば、今の拙僧の気持ちが少しは分かってもらえるだろーか。
やっとオーチェンドールの元に辿り着いた時は、疲労感やら鬱憤やらで複雑な心境だった。
とにかく問答無用で襲い掛かってきた彼を、文字通り瞬殺した。
Wikiによれば瞬間移動するとのことだったが、極悪付呪+鬱憤+渾身の力で一撃を食らった彼は、あっさりと倒れた。ある意味、余計にストレスを感じた。
「つまらん・・・もうちょっと拙僧を楽しませろってんだ。」
この時、拙僧ってば相当な悪だったかもしれない。
「倒したぞ。」
「よし、褒美をやろう。」
「何でも願いを叶えてくれるんだよな?じゃあ、女を、全世界の女を拙僧のモノ・・」
「ほい。私の力の加護を受けた盾をやる!」
「いや、そんなんいらねーよ。それより女・・・」
「じゃあな!アデュー!」
「は?おい戻って来い!拙僧の願いを叶えろ!この嘘つき!!」
それ以来、ペライトはスカイリムの地に全く現れなくなった。
拙僧はデイドラの王子を退けた英雄として、失笑交じりにノルドの人々に語り継がれることになった。
デイドラの王子も逃げ出すほどの、無茶な願いを抱いた人として・・・。

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