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【2025/09/11 19:25 】 |
082 目覚めの悪夢4


「こぉの、裏切者!」

拙僧がまさにエランドゥルを問い質そうとした時、神殿奥よりヴァーミルナ神官らしき男達が襲い掛かってきた。
こいつらは見覚えがある。
・・さっきの追体験で命令を下していた男達だ。

「違う。そうじゃないんだ!」
エランドゥルは必死に弁解を試みながら、口調とは裏腹に、相手を容赦なく斬り捨てていた。

「どうやら封印が解けた際に、睡眠薬も切れたらしい。邪魔が入る前にさっさと行くぞ!」
エランドゥルはそう言って、駆け出した。

・・・どさくさ紛れに拙僧の質問を無視しやがった。

しかも元同僚達は爺さんを裏切者呼ばわりしていた。
さらに、その元同僚をあっさり斬り伏せるとは、やはり裏があるな。



「やっとじゃ。やっとこの時が来た。」

拙僧が儀式の間に辿り着いた時、エランドゥルはすでに儀式の階段を上り始めていた。



「おい、爺さん。一体どういうことだ?何故爺さんが裏切者呼ばわりされる?」
「ふはははは!ふははははは!」
「おい、爺さん!」
「ははは。いや、すまんすまん。あまりに事が上手く行き過ぎて、気分が良くての。」


「あんた、睡眠薬を散布した張本人だな?」
「いかにも。だが良く気付いたな?」
「ああ。俺は二十数年前のあんたの心に入り込んだんだからな!」
「ほう、私の心の中に?」
「ああ。あんたは睡眠薬を散布後、聖堂に封印を施し、あんたにまで害が及ぶのを防いだ。そして一人逃げ出したんだ。しかも残党オークの襲撃を恐れて、マーラ神官に鞍替えまでしてな。」
「ふむ。そうだとして、なぜ今更、もう一度戻ってくる必要がある?」
「大方、ドーンスターの悪夢騒動を聞きつけて、誰かが封印を解くのを恐れたんだろう。封印が解ければ、神官たちは皆、目を覚まし、あんたの裏切りも許さないだろうからな。その前にあんた自身の手で息の根を止めたかったんじゃねえのか?」

儀式の間に辿り着くまでに、多くの神官とオークが死んでいた。
ほとんどは大昔にすでに息絶えていたようだったが、つい最近の傷もあった。おそらく二十数年ぶりの起きぬけをエランドゥルに襲われたのだろう。

「素晴らしい推理力だ。惜しいな。共にドーンスターを救った英雄として、並び称されるつもりだったんじゃが。」



爺さんはふいに拙僧にナイフを持って、襲い掛かってきたが・・・なめてもらっちゃ困る。
こちとらどんなに油断をしてたとて老神官に遅れを取るようなタマじゃない。
ましてや、今の拙僧はさりげなく臨戦態勢を取っていた。

結果、あっけなくエランドゥルを返り討ちにした。




拙僧は、自身を除いて、本当に生者のいなくなった聖堂で、ひっそりと髑髏を回収した。

今頃、ドーンスターの住民は久しぶりに、安らかな眠りについていることだろう。
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【2012/05/06 00:12 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
081 目覚めの悪夢3


「もう駄目だ!奴らの方が数において、圧倒的だ。」
「仕方あるまい。ミアズマを解放するぞ!」
「××××!覚悟はできてるか?」
「ああ、大丈夫だ。任せておけ!」

拙僧の精神は今、とある男の中に入り込んで二十数年前の戦いを追体験している。



エランドゥルの作戦は、拙僧が薬を飲んで、封印を解除するというものだった。

「飲むのは拙僧なのか?なんで!?」

薬の効能よりも、理由が納得できなくて、拙僧は食い下がった。

「無理もなかろう。昔はともかく、今や私はマーラの神官だ。ヴァーミルナの息のかかった薬を飲むわけにはいくまい。飲めるのはヴァーミルナの神官か、一般人だ。」
「・・・・。」

自分が飲みたくなくて、理由をこじつけているだけのような気がするが、どーこー言っても仕方あるまい。
まだ見ぬドーンスターの美女達の為に、拙僧は薬を飲むことを決意した。

「いいか。この薬を飲むと精神ははるか過去に飛び、体は消える。お前の精神が再び現世に戻ってくれば、その時体は他の場所で具現化する可能性が高い。」
「なんか、高確率で死にますって言われている気がするんだけど・・・。」
「気のせいだ。きっと成功する。」
「きっととか言うな!」
「ごちゃごちゃ言わずにさっさと飲めって。」




事情はよくは分からんが、拙僧の精神が入っている男はミアズマと呼ばれる睡眠薬の散布を任された。
男は各所で繰り広げられているオークと神官の戦いを擦り抜けて、散布に成功した。

が、男はその後・・・。

「おお!無事に戻ってきたようだな。」
「ああ、上手く追体験した先で、封印のこちら側に来たんでな。」

拙僧の精神は現世に上手く戻ってくることができた。
しかも都合のいい事に、封印の先で体も具現化した。


「その魂石だ。その石を外せば、封印は解ける。」



これかっ!



エランドゥルの言うとおり、石を外すことで封印が解けた。
やっと通れるようになった扉を潜り抜けて、エランドゥルがこちら側へとやってきた。

「なあ、爺さん。」
「ああ?」
「睡眠薬が散布されたときに、聖堂内部の人間は皆、眠ってしまったんだよな?」
「ああ、そうじゃ。」
「なら、なぜ爺さんは助かったんだ?」



拙僧は、とある男の心に入り込んでいる時に、ずっと感じていた。
男は使命を果たすことへの責任感と、使命を果たした後に起こる恐怖に押しつぶされそうになっていた。
【2012/05/05 23:21 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
080 目覚めの悪夢2


「私はな、マーラの神官になる前は・・」
「ヴァーミルナの神官だった?」
「気付いておったか。」
「そりゃ、これだけ事情通だったらな。」

隠し扉の存在やら、要となる髑髏の存在やら、実際に関わっていなければ、まず知ることは難しかろう。
しかし、この聖堂の荒れ具合が尋常でないが。

「ここは二十数年も前に、オークの襲撃に遭っての。彼らもまたヴァーミルナの悪夢に悩まされているようじゃった。ともかく神官一同で応戦したのじゃが、多勢に無勢じゃった。いよいよ覚悟を決めねばならなくなった時、神官長たちは禁断の手法を使ったのじゃ。」
「禁断?」
「ああ。簡単に言えば、眠り薬じゃな。ただし、一生目覚めることもないぐらいに、超強烈じゃが。」



「ふうん。じゃあ、神官たちは今はどうしている?」
「眠っているじゃろう。襲撃してきたオークたちとともにな。」
「諸刃の剣という訳か。じゃあ、封印があちらこちらに施されているのはどういう訳だ?」
「眠り薬が聖堂内に満ちるまでに、各所にいた神官が、防衛の為に張ったのじゃろう。とは言え、そう淡々ともしておられん。これら封印を解除せぬことには儀式の間に辿り着けんでな。手がかりを探すぞ。」




エランドゥルと拙僧はまず図書館へと向かった。
エランドゥル曰く、封印を破るための手法が書かれた本があるらしい。



「これじゃ!これじゃ!よし、後は薬を用意するだけじゃな。」
「薬?」
「なかなか貴重な材料が必要だからな。外界で探すとなれば、一苦労じゃ。できれば聖堂内に残っているといいが。」



「薬ねえ。残ってたとして、二十数年も前に作製されたやつだろ?有効期限とか大丈夫か?」
「まあ、不安はないではないが、他に手もないしの。」
「いや、外界で集めなおすとか・・・」
「ほら!研究室に辿り着いたぞ!」



研究室(なぜ聖堂にそんな部屋があるのか不明だが。)もまた、オークの襲撃の折りに、無茶苦茶に破壊されたようだった。

「こんなところに薬なんて残ってるのかねえ。」
「何言ってる?あると思わねば、ある物も見つからんぞ!」

期待交じりの発言(ボケ)に、鋭い返答(ツッコミ)をイタダキマシタ。
全くその通り!拙僧、なくても良いと思ってマス!



「・・・あ、見つけちゃった!」
「でかしたぞ!」

拙僧、なんでこんな時に運を使っちゃうんだろう。
もっと女を口説く時とか博打をする時とか、そういう時に幸運の女神に微笑んで欲しいのに。
【2012/05/05 22:26 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
079 目覚めの悪夢1


「この街の連中は皆、どうかしてしまったのか?」
「気づいたか、旅の御仁。」
「気づくも何も、こんだけ周りでワイワイ騒がれたらなあ。」

ナンパの場所を変えようと、ホワイトランからドーンスターへとやってきた拙僧だったが、
着いて早々に、住民の雰囲気がおかしいことに気が付いた。

どうも皆、眠ることを恐れているようなのである。

ともかく今夜の宿を確保しようと、宿屋兼酒場の『ウインドピーク』へとやってきたところで、同宿の神官風の男から酒を飲み交わしながら事情を聞き出す機会を得た。



「ヴァーミルナのせいなのじゃ。」
「ヴァーミルナと言ったら・・・」
「そう夢、特に悪夢を司るデイドラの女王じゃ。奴がこの街全員の夢に干渉するようになって久しい。おかげで、皆眠ることを恐れるようになった。本来、安息を得るための夜の時間が、恐怖と憔悴に取って替わったのじゃからな。」
「拙僧にとっても死活問題だな。寝るのを恐れてちゃ、ナンパどころじゃねえもんな。」
「ほう。どれ、私と一緒にこの街を救ってみんか?」
「いいだろう。だが、手があるのか?」
「ナイトコーラー聖堂に元凶があるんじゃ。あそこに行けばええ。」



やたら事情通なエランドゥルに従い、問題の聖堂へとやってきた。
このエランドゥルという爺さん、マーラの神官を名乗っているが、どうにも胡散臭い。

「どれ、ここに隠し扉があるんじゃ。解除するから、ちょっと下がっておれ。」



・・・本当に隠し扉があったよ。
この爺さん、絶対一見さんじゃねえな。ますます怪しい。



「下の方に半球が見えるじゃろう。あの中心に髑髏があるんじゃが、それが元凶じゃ。」
「爺さん、あんた何者だ?何故こんなにも事情に精通している?」
【2012/05/03 16:51 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
078 乱心


あまりにホワイトランでのナンパが上手くいかないので、もう一度勉強しなおそうと吟遊詩人大学に出向いた時のことだ。
夜遅くまで、詩の勉強をした後、表へ出ると、デルヴェニンという男が嘆いているところに出くわした。

「一体、どうした?」
「ご主人様が休暇から戻られてこないのです。もう何年にもなります。」
「そんなに!?」



ブルーパレス宮殿の『ペラギウスの羽』という部屋に行けば事態は進展するらしい。



「部屋の鍵?貸してもいいですけど、中は蜘蛛の巣だらけですよ。」



掃除係の言うとおりだな。
さて、ここに来れば何かが分かるらしいが。



わお!
(いきなり脱がされた!?)



ここはどこだ?



ん?あんなところで晩餐か?



「もう駄目だ。俺、自信ない。」
「何言ってるんだ!お前は立派に皇帝を務めてるよ。」
「でも何だか落ち着かないんだよね。」
「狂王ペラギウス、お前なくして民はどうするって言うんだ?」
「そうは言ってもさ。駄目駄目。今日のところは帰って寝るわ。」



「あんた、デルヴェニンのご主人さん?」
「いかにもそうだが、何か用か?」
「伝言を預かってきた。『早く休暇を切り上げて帰ってきてください』だとよ。」
「ほう。あいつが寂しがっているのか。この俺がいなくて?」
「まあ、そんなところだな。」



「分かった。では帰るとしよう。案内してくれ。」
「は?何言ってんだ。第一、ここはどこなんだよ。」
「ヒャッハー!いい所に気がついたな、定命のものの癖に。ここはペラギウス王の心の中だよ。」
「・・・あんた誰だ?」
「ヒーヒッヒ!私か?聞いて驚け!泣け!叫べ!マッドゴッドこと狂気の王、シェオゴラスとは私のことだ!」



「あ、そう。」
「おい、もうちょっとアツイ反応はないのかよ。」
「いや、薄々そうかな~って気がしてたし。」




この不思議な空間から出るための手段として、ペラギウスの心を治療しなくてはいけないらしい。

3つの課題があったが、すべてを解決して、再びシェオゴラスの元に戻った。



「おい。ペラギウスの心を直してきたぞ。」
「えらく主観的な物言いだな。まあ、いい。」



「お、おお!旦那様。私をお呼び下さったのですね。とうとう休暇は終了ですか?」

突然、デルヴェニンが現れて、面食らったが、主従ともども平然としている。
きっと彼らはこういうことを何度も繰り返してきたんだろう。

「いや。休暇はもうしばらく続ける。またこの者のように誰かを寄越されると鬱陶しいから、お前に釘を刺しておこうと思ったまでだ。」
「そ、そんなあ!」

またデルヴェニンの姿が消えた。



「一応、お前には迷惑をかけたようだからな。餞別に杖をやるよ。シェオゴラス様特製だぞ。」



ふと気が付くと、ペラギウスの翼へと戻ってきていた。

現実時間にして、一晩も経っていないだろう。
短時間の間に、いろんなことが起こって、ワケが分からなくなりそうだ。

たった一つ、分かったのは『シェオゴラスって変な奴!』ということだけである。
この言葉も彼にとっては誉め言葉になりそうだが。
【2012/05/02 12:20 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
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