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【2025/09/10 23:13 】 |
107 溺れた悲しみ2


「・・・ってワケなんだよ。ヴェックス、なんか知らね~か?」



「確かに古い友人のイザベラが訪ねてきたことはあったねえ。」
「おお、それそれ。で、どうなったん?」
「盗賊稼業をやりたいって、彼女が言うのよ。『止めときな。あんたには向いてないよ。』って何度か言ったんだけどね。」
「それで?」
「彼女が意地張って、動かないからさ。こっちが根負けしちゃったよ。素人でもお宝がまだ比較的GETしやすい穴場のダンジョンを教えてあげたんだけどね。」
「それ以降は音信はないのか?」
「それっきりさ。てっきり故郷に帰ったもんだと思ってたよ。」
「ランミルって男についてはどうだ?」
「イザベラと前後して、リフテンにやってきたねえ。私のことをやたらとかぎ回るもんだから、体よく追っ払ったよ。」

おお、かわいそうに。それで自暴自棄になって、ランミルは飲兵衛になったわけだ。
しかし、この分だとイザベラの先の話はあまり良くはなさそうだ。最悪の場合・・・。



ヴェックスが紹介したという『ホブのフォール洞窟』へとやってきた。
ん?入口付近に誰か倒れているようだが。



ハランから聞いていたイザベルの特長にそっくりだ。
ということは、もしや・・。



やっぱり彼女がイザベラだ。
下着の裏から出てきた手紙に、彼女のランミルへの想いと、今回の出奔の理由が述べられていた。
生前の彼女については知らないが、手紙の文章から読み取れる分には、彼女の誠実さには一点の曇りもなかったようだ。



拙僧はウインタホールドに戻ると、迷惑そうな顔をするランミルの横にどかっと座った。そして有無を言わさず、イザベラの手紙を突き出して見せた。

ランミルは最初は面食らったようだったが、手紙を読み進めるにつれ、涙をぼろぼろと流して懺悔を繰り返していた。
「しばらく一人にしてくれないか。」
彼のその言葉を契機に拙僧は席を立った。




その後、拙僧はランミルの事を忘れるほど、ウインターホルド中の悩みを解決して回った。
人々の感謝と共に、拙僧の名声も上がっていった。


そんなある日、拙僧は首長から突然の呼びだしを受けた。

「そなたの噂でこの街は持ちきりだ。随分と民衆を救っているらしいな。」
「取るに足りぬ相談がほとんどだったけどな。」
「まあ、それでも首長である俺の代わりに、随分と尽くしてくれたことには間違いなかろう。先ほどランミルからも報告が来ておる。」
「で?」
「で、そなたをウインターホールドの従士に任命しよう。この称号があればいろいろと便宜を図ってもらえて、便利だぞ。」

よっしゃ。ここウインターホールドでも確たる地位を築くことに成功したぞ!
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【2012/05/29 00:51 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
106 溺れた悲しみ1


「あんた冒険者だろ?ちょっと相談に乗ってくれないか?」

ウインドヘルムの宿屋兼居酒屋で、凍えた体を一杯引っ掛けて温めているところ、カウンター越しに主人から話しかけられた。



「あっちの隅で飲んでる男がいるだろ?ランミルってんだ。・・・おっと誤解するなよ。別に迷惑って訳じゃない。彼はただ黙々と飲んでるだけで、酔って暴れたりはしない。それに支払いの方もちゃんとしてくれてる。」
「なら何の問題もないじゃねーか。」
「彼は今でこそ、酒浸りの毎日だが、以前はああじゃなかったんだ。昔、恋人のイザベラに去られてな。それっきりさ。」
「で、拙僧にどうしろと?」
「まさに今、話をしてただろ。イザベラの消息を調べてもらえないか?もし、彼女の去った理由がまともだったなら、きっとランミルは立ち直ると思うんだよ。」



「余計なお節介はしない方がいいわ。」

拙僧が宿屋の主人の依頼を請け負うと、女将からは釘を刺された。

「人には、誰にも触れられたくないことがあるものよ。解決できるのは自分自身だけ。」
「それも一理あるけどな。見てみなよ、あの飲兵衛がこのまま自立できると思うかい?それより、あんたは何も知らないのか。」
「・・・う~ん、仕方ないわね。実は昔、ランミルがむちゃくちゃ酔っ払った時のことなんだけどね。」
「うんうん。」
「一度だけ暴れたことがあったの。でもその後、すぐに眠り込んじゃって。その時にうわ言で言ってたのよ。『イザベラはリフテンにいるヴェックスに会いに行った。俺も行ったが、門前払いされた』って。呂律が回ってなくて、聞き取れた内容は今の所だけ。」
「ふ~ん、ヴェックスねえ。」
「噂によると、盗賊ギルドがリフテンで幅を利かせてるらしいし、物騒なことこの上ないわ。あなたも行くのは止しといた方がいいわよ。」
「忠告ありがとう。でも、拙僧なら大丈夫だ。」
【2012/05/29 00:25 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
105 塩気のあるアザラシ


「貴殿に怨みはないが、後の世の太平の為、お命頂戴致す。」



「依頼を果たしたぞ。例の巨人を倒した。」
「ほぉ。なかなかの腕前だな。どうやら単なる馬鹿ではなさそうだ。」
「おい、それがこの街を悪夢から救った恩人に対する言い草か?」
「はっはっは。冗談だ。お前さんには名誉ある従士の称号を授けたいが、その為にはまだまだ民の為に、働いてもらわんとな。」
「まだ不足かよ。」
「なんの。お前さんなら容易いことだろう。どれ?もう一件、依頼をこなしてみんか?」
「言っておくが、これが最後だぞ。」



「首長から聞いてるよ。厄介事を解決してくれる“便利屋”なんだって?」
「・・・。野郎、陰でそんな呼び方してやがるのか。後で 絞めてやる!」 
「え?」
「何でもない、こちらのことだ。で仕事の内容は?」
「実は妖魔の洞窟というところに、うちの船員が大事な取引に使う塩を落としてきたんだ。取りに行けなくて困ってる。」
「思いっきり使いっ走りだな。塩ぐらいそこら中にあるだろう?」
「単なる塩じゃねえ。『極上の虚無の塩』だ。そう簡単に入手できるもんじゃない。」
「なら落とすなよ。」
「俺も今船員にそう言ったところさ。」



妖魔の洞窟は、名前の割りには大したことのない洞窟だった。
せいぜい熊が4匹同時に出てきて、ガオガオうるさかったぐらい。


おかげで『え?これで終わり?』てな感じで、スクショを撮り損ねてしまった。



大して広くもなく、トラップもなく、あっさりと目的のブツをGET!
いつもこの程度で済むんなら、冒険者稼業はボロい商売なんだけどなあ。



「塩を取り戻したのか!ありがとう、恩に着るよ。ここ一年間で始めての朗報だ。」
「これからも困ったことがあったら言ってくれ。いつでも相談に乗るぜ。」

いや、マジで。いいカモ見つけたかも。



「おお、聞いたぞ。またうちの民の苦境を救ってくれたらしいな。」
「こっちも聞いたぞ。陰で拙僧のことを何て呼んでるか。」
「・・・ははははははーーー。ま、まーいーじゃねーか。そ、そうだ。約束の従士の件、あんたに授けるよ。」
「そんなんで拙僧の気が済むとでも!?」
「わ、分かった!もしもの時には、ドーンスターいやペイル地方の皆がお前に手を貸そう。」


散々首長を脅して、さらに2,3の好条件を引き出した後、拙僧はペイルの従士となった。
【2012/05/27 12:26 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
104 埋葬5


「俺達の手でやっちまおうぜー!」
「そうだ、この街の平和は俺達自身で守るんだ!」

首長の命を受けた兵士及び有志の町民一同が吸血鬼打倒に燃えていた。



何せ自分達の街を吸血鬼の一団が乗っ取りを企てていたのだ。首長には正体を隠した吸血鬼が就き、町民は皆、吸血鬼の飢えを満たす家畜同様に成り下がるところだったのだ。

アルバはその計画を成し得るための尖兵だった。巧みに人心を惑わして、ある者は疑心暗鬼にさせ、ある者は虜にし、意のままに人々を操ろうとしていたのだ。

拙僧の手で事が露見した今、皆悪い夢から覚めたかのように、すがすがしい表情で、揃って武器を手に取った。



吸血鬼のアジトへ向かう足取りもしっかりしていて頼もしい。



「うおりゃあー!ソブンガルドへ逝ってしまえ~!」

町民達の急襲が始まった。
吸血鬼集団は、よもや自分達が攻撃を仕掛けられるとは思っていなかったに違いない。
臨戦態勢を取る暇もなく、次々に倒されていった。



「おい、起きろ!」



「残るはあんただけだ。」

吸血鬼集団は長を初めとして、皆町民達の手にかかった。
残るは、奥で一人眠っていたアルバのみ。

「見逃してくれたら、何でもしてあげるわよ。」

彼女は当然ながら、取引を持ちかけてきた。いつもなら拙僧もあっさりと陥落するところだが・・・。

「悪いな。他のレディーと先約があるんでね。」

そう言って、アルバを町民達に引き渡した。彼女はこれから街の法廷で裁かれることだろう。



吸血鬼のアジトの出口で、その小さなレディーは拙僧を待っていた。

「いろいろとありがとう。」
「どう致しましてお嬢さん。」

くすっと笑ってヘルギは、名残惜しそうに言った。

「もう行かなきゃ。お母さんが待ってるから。」
「そうか。お母さんを一人ぼっちにする訳にはいかないもんな。」
「また遊んでくれる?」
「ああ、いつでもいいよ。」

ヘルギは拙僧の返事に満足そうに頷いた後、すぅ~っと消えた。
おそらく成仏したのだろう。



「よくやってくれた。あなたにはモーサル、いやハイヤルマーチ中が感謝しているよ。」
「どう致しまして。」
「何か礼をしなきゃねえ。・・・そうだ、あなたに従士の称号と、それにふさわしい武器をあげるよ。」
「武器?」



「ああ、魔を打ち払い、正義を貫くための力を秘めた剣さ。」

拙僧は、ハイヤルマーチ地方にも基盤を気付くことができた。
武器よりも称号よりも、拙僧に何かあれば、首長や町の人々が味方についてくれる・・その言葉の方が何百倍も嬉しかった。
【2012/05/27 00:26 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
103 埋葬4


どうも一連の事件の渦中にはアルバがいるらしい。

盗賊ギルドで磨いた錠前解除の腕を発揮して、彼女の家に忍び込んだ途端、中で待ち構えていた男に襲い掛かられた。驚いて外に飛び出した拙僧を、外まで男が追いかけてきた。
が、今度は拙僧が不意打ちを食らわした。

たまらず昏倒する男。拙僧は男が気絶している隙に、アルバの家の中へ再度侵入した。
こうなったら、強行するしかない。



アルバの家には地下があり、そこには一つの棺桶が置かれていた。
よく見ると、日記らしき物がある。



手に取った本は、やはりアルバの日記だった。
そこには恐るべき計画が記されていた。



拙僧はアルバの日記を持って、首長のところへ行った。

「アルバは吸血鬼だ。彼女がフロガーを篭絡して、昼眠っているときの護衛にすると共に、ラレッテを吸血鬼にして自分の下僕にしたらしい。ラレッテは普段アルバの家の中に潜んで姿を見せなかったから、夫ですらアルバの嘘を信じていたようだ。」
「何のためにフロガーの家を燃やしたの?」
「ここに書かれている。最近フロガーの妻が、家に戻らない夫に憤激して、アルバの事を調べようとしていたみたいだ。吸血鬼であることを知られたくないために、そして『恐るべき陰謀』を万が一にでも漏らさないために、彼女を事故に見せかけて殺すようラレッテに命じたようだ。」
「その割には派手な手段を取ったのね。」
「ああ、アルバもラレッテの取ったお粗末な手段に、日記の中で呆れていたさ。」
「で、『恐るべき陰謀』って何?」
【2012/05/26 18:14 】 | 救世の旅 | 有り難いご意見(0)
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